#わたしとリウマチ(since1988)後編

 

1.マイナス百度

 ということで20才の夏休みはひたすら自分の部屋でゴロゴロして過ごしているうちに9月に入り、そろそろ学校もはじまっちゃうなーなどと考えていたある日のことでした。うちの両親そろって「おまえ大学1年くらい休学していいから九州いくか?」などと言い出すのです。九州?なんで九州?「じつはね、九州に冷凍療法でリウマチのリハビリをする施設があるそうなのよ〜」冷凍ですと?!みると母親の手には図書館で借りてきた1冊の新書(NONブックスとかワニブックスとかああいうやつ)が。。。

 リウマチというのは痛いからといって動かさないでいると関節の可動範囲がどんどんせまくなってしまうのですね。まさに関節が熱をもって炎症がおきている最中はあまり使わないほうがよいのですが、炎症がおさまってきたら動かしてリハビリしたほうがよいのです。そうでないと関節が固まってしまうのです。(朝おきたときに関節がこわばっているのも寝ている間動かさないからです。)ただ、動かせっていってもとても痛いから動かすのが困難なんですね。そこでステロイドを使ったり、というような話になったりするわけです。

 で、その冷凍療法ってのはマイナス50度とか100度とかいうような巨大冷凍庫に入ってリハビリをするそうなんです。ものすごーーく冷たいところに入ると血液循環がよくなり、からだがびっくりして自分で副腎皮質ホルモンを分泌しはじめたりするそうなんです。また、ものすごーーく冷たいところに入ると感覚が麻痺するために関節の痛みをあまり感じることなく動かすことができるらしい。

 いまでこそインターネットでいろいろ調べたりできる世の中になりましたし、現に冷凍療法で検索してみるとそれなりに確立されてきているもののようです。が、そのときうちの両親が拠って立っていたところはその本1冊なんですね。たしかに書いてあることはもっともなことが書いてはあるけど、ええ〜〜、それほんとなの〜えええ〜、ええええ〜〜、という感じでした。ここでうちの両親の性格が問題となります。

お母ちゃん:本に書いてあることを間に受けてしまうタイプ。「これはすごい」と書いてあると本当にすごいんだと思ってしまう。
お父ちゃん:工学部化学科出身。理屈がとおると納得してしまうタイプ。実験が大好き。ちょっとだけマッドサイエンティスト。

 焦りました。ふだんこの両親は「またお父さんそんなこと言って〜」とか「また信じちゃってるよ、あのかあちゃんは」みたいなことをいって牽制しあってバランスがとれているのですが、このようにたまにぴたっ、とベクトルが合ってしまうことがあるのですね。はまってしまったというか。

 とりあえず「休学しないでも学校もなんとかいけそうだし、あちこち関節が曲がってしまった状態ではないのでしばらく現状維持とさせていただきたい」旨を両親に話しました。友人とはなれて九州ってのもさみしいし。てなことを言ってなんとかその場はおさめました。しかしそれでは終わらなかったのです。。

2.冷凍計画?!

 そんなわけで九州行きはなんとか断って、私はなんとか苦労しながらもまた学校にいきはじめました。しかし両親はまだあきらめていませんでした。それだけ本気で娘のことを案じていてくれた、ということでもあるわけなんですが、ある日父親がいいことを思いついた!という顔でいいました。

「九州行かないでもうちでマイナス100度にする装置作ればいいんだな」

えっ?!!!!!!!!!!!!作っちゃうんですかっ!!!!!!

「ドラム缶もってきて液体窒素入れればマイナス100度になるな。」(唖然)

わたしは見てしまいました。そのときの父の目がマジだったのを。
ぎ、ぎゃ〜〜〜、殺されるぅぅぅ、ドラム缶詰にされて冷凍されちゃう〜〜〜〜。

 そ、そんな馬鹿な、あはは、とお茶を濁してわたしはどうにか家を抜け出し学校に逃げました。サークルの部室ではわたしの冷凍計画ネタでもちきりです。「それは死ぬよなあ」「フレッシュに保存はできるけどなあ」大盛り上がりです。ひー、助けて〜〜。

 

そして数日もたたないうちにお父様よりとどめの一言をいただきました。

「おい。液体窒素うってるところ見つけたぞ(嬉)!」

ここまできてようやくうちの姉(初登場)が、事態はそうとうヤバいことになってるというのに気づきました。

「なに馬鹿なこと言ってるのっっ!!死んじゃったらどうするのっ!!!!」(もっともだ。)

はげしい家族バトルは数時間に及び、ドラム缶計画は危機一髪、白紙撤回となりました。このときのねーちゃん、すげーかっこよかったです。我が家で主流となってしまったドラム缶計画を身を張って阻止してくれたのです(泣)。おねーさま、命の恩人でする〜〜〜。

* * *

ちょっと面白おかしく書きすぎで若干、両親に申し訳ないところはありますが、これノンフィクションでございましてよ。ええ。

3.その後のわたし

 その後、飲んでいた抗リウマチ剤の効果が出て、幸いにも症状は落ち着いてきました。3〜4年周期くらいで悪くなったりよくなったりを繰り返してきましたが、発病当時ほどの悪化ぶりはみせていません。ありがたいことです。ただ悪くなってる時期はあちこちモロくなってるようです。会社はいった後のことですが、夕食のあと、重たい鍋を洗っていたらば「ピシッ」という音と共に急に左手が激痛のためあがらなくなり、なんじゃろな、あいたたた、と思って翌日午前中会社を休んで病院にいったら骨折してた、なんてこともありました。(「呪いの鍋事件」)まさか折れてるとは思わなかったので納得いかないままその日は一日休みにして家で「なんだ〜、折れちゃったよ、やだな〜」といいながら豆をぼりぼり食っていたら「ガガガガキッ」という鈍い音がして、ぎゃー今度は歯が欠けちゃったよ〜〜〜、と午後は歯医者へ、なんて日もありました。(みんなに「カルシウム食え」といわれました。。。)

 最近はすこぶる調子がよいので健常者とまったく変わらぬ毎日を過ごさせていただいています。いわないとわかんないでしょ?

4.心のもんだい

 せっかくリウマチのことを書いたので、最後に。どんな病気もそうだと思いますが、リウマチにストレスは非常によくないそうです。でもってリウマチは痛い病気なので、それ自身がストレスとなってますます病気もわるくなり、落ち込んでしまったりします。他のひとにはなんでもないことがリウマチ患者にはとても大変なことだったりして、周囲のひとの気遣いがとても大事です。

 また、そうでなくてもふさぎがちになってしまうので、どんどん楽しいことをするべきです。リウマチ学会で有名な話があるのですが、あるリハビリ施設で重症の患者さんたちを集めて落語を聴く会をやったそうです。で聴く前と聴いた後とで血液をとって検査したところ、なんと、ほとんどの患者さんのリウマチ反応が落語で大笑いした後は数値が少なくなっていたそうなのです!!つまり「病は気から」という言い伝えは迷信ではなくて本当に実証されるものであったわけです。なので、毎日つらくてもどんどん楽しいことみつけて笑っているのがぜったい身体によいのです!そのへんがこのページの趣旨だったりもします。

会社の後輩の女の子でもう辞めちゃった子がいたんですが、辞める直前になって彼女がリウマチのせいでやめちゃうんだ、っていうのがわかってびっくり。結婚退社だったのだけど、いろんなことができなくてどうしよう、とかいろいろ悩んでいたみたいです。いろいろ話したりメールしたりして、お互いずいぶんはげみになりました。楽しいこといっぱいしたほうがいいよー、できないことは旦那さんにしてもらえばいいじゃーん、とか言っていたらずいぶん気持ちが前向きになったみたいです。よかったよかった。(^-^)元気にしてるかな?

 わたしは、というとバンドはやってるわ仕事はいつも遅いわ、ほんと不良主婦ですが、すき放題やらせてもらってるのでほんとに感謝なのです。みなさん楽しく参りましょう!


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